10年くらい前、「剣道は、韓国のコムドがルーツ」という話が盛り上がって、国際的にもそうなりそう・・・と聞いた記憶があります!
そのときは「え、剣道って日本のものじゃないの?」とびっくり。でも、それっきりすっかり忘れていました。
結論、剣道は今も「剣道(Kendo)」のまま!2018年には韓国で、国際剣道連盟の世界大会まで開かれていました。
じゃあ、あの話はどこから来たの? オリンピックやユネスコで認められそうだったのは本当?
「剣道は韓国が起源」の話は、本当にあったの?
どこで聞いたのかは、正直もう覚えていません。ネットのまとめ記事だった気もするし、テレビかニュースだった気もする。騒いでいたのは一部の人だけで、そもそも本当にあった話なのか、自信がないくらいです。
全日本剣道連盟が、日本語と英語で見解を出していた
ネットで「剣道の起源は日本ではなくて韓国である」という書き込みが増えたため。それまでは、あえて反論してこなかったとのこと(全日本剣道連盟の見解)
日本の剣道の団体が、わざわざ見解を出すほど。話そのものは、たしかにありました。わたしの記憶の出どころも、たぶんネットのどこか。

ネットの話でいうと、2011年には、日本のある動画が韓国でニュースになっていました。剣道の話も、その動画が並べた例の1つだったみたいです。
2011年、日本のネット動画が剣道の話を取り上げ、韓国で話題に
日本人とみられる人の動画が、剣道の元は韓国のコムド、という話などを、韓国が言っていることとして並べた。これが韓国で話題になり、韓国のメディアが強く反発(J-CASTニュース)
ここで気になったのが、韓国のメディアが何に反発したのか。「韓国はそんなこと言ってない!」と言い返したのかな?と思ったら、ちょっとちがいました。
韓国の新聞が反発したのは、韓国は日本のまね、という言い方
韓国の中央日報は、動画の非難を「度が過ぎた」とする見出しで報道(J-CASTニュース・2011年10月)
記事を読むかぎり、剣道の起源をめぐって言い返した、という話ではなさそうです。日本のネットで広がった面も、あったのかもしれません。
オリンピックで「コムド」が認められそうになったのは本当?
あのとき聞いた、国際的にもそうなりそうという話。調べていくと、それらしい団体の話が出てきました。
2001年ごろ、アメリカで「世界コムド協会(WKA)」ができた
韓国の大韓剣道会とは別の、コムドの団体。コムドをオリンピックに入れて、自分たちが仕切る団体になることを目指していたとのこと(英語版ウィキペディア)
韓国の公式の剣道の団体とは、別のグループだったんですね。オリンピックを自分たちで仕切るって、なかなか大きく出たな・・・。騒いでいたのは一部の人だったのかも、という気がしてきます。
この団体が今も活動しているのかも気になったけど、新しい大会の話が見つからず、そこまでは分かりませんでした。
剣道をオリンピックに、という声はとくに韓国から
剣道は、今もオリンピックの競技ではない。入れたい声は、とくに韓国から。日本の剣道の団体は反対で、近いうちに入るのは、とても考えにくいとされている(2024年の論文)
オリンピックを望んでいたのは、韓国側だったんですね。そして日本の団体は、入れたくない側。

でも、なんで日本はオリンピックにしたくないんだろう? 武道としての良さ・・・みたいなことだった気がします。柔道はオリンピックの競技になって、青い道着が入ったりして、日本側が望まないことも確かにあった気がする。そういうことなのかな。
オリンピックにしたくない理由は、「残心」と柔道
目に見えにくい「残心」(打ったあとの心がまえ)を大事にする剣道。誰が見ても分かる判定に合わせると、文化としての値打ちが小さくなるという考え。柔道が競技として広がってからの変わり方も、理由の1つ(2024年の論文)
やっぱり、武道としての良さの話でした。柔道の話も、ちゃんと理由の1つに入っています。

わたしは、オリンピックがあるほうが盛り上がるとは思うんですけどね。盛り上がるのはオリンピック、守りたいのは残心。
ユネスコに「韓国の武道」として登録されそうだった?
国際的に、と聞いて思い浮かぶのが、ユネスコの無形文化遺産。剣道が韓国の武道として登録されそうだったなんてこと、あったのか。
ユネスコの無形文化遺産に入った韓国の武道は、テッキョンとシルム
韓国の伝統武芸テッキョンが2011年、韓国の伝統的なレスリングのシルムが2018年に登録。シルムは、北朝鮮と韓国が一緒に申請したもの(ユネスコの発表)
剣道(コムド)をユネスコに申請した、という話は、日本語・韓国語・英語で探しても見つかりませんでした。韓国語で出てきたのは、テコンドーの登録を目指す話ばかり。申請の話すら無いなら、ひと安心です。

ユネスコに入っていたのは、剣道じゃなくてテッキョンとシルム。韓国にある、ユネスコの名前が付いた施設でも、剣道の紹介はこうでした。
韓国の「ユネスコ国際武芸センター」でも、剣道は日本の武道
韓国の忠州にある、名前にユネスコが付いた施設。剣道は剣術から生まれた日本の武道で、起源の国は日本と紹介(ユネスコ国際武芸センター)
国際的な武道の紹介でも、剣道の生まれは日本。ユネスコで韓国の武道として登録されそうだった話は、見当たりませんでした。
剣道とコムドは同じもの?韓国の言い分は?
韓国の人には、韓国の人の言い分があって、それはそれで正しかったりすることもある。だから、正当性があるのかどうかも、今さらながら気になりました。まずは、そもそもコムドって何なのか。
コムドは「剣道」の韓国語の読み方。世界大会では同じルール
世界大会では、日本も韓国も同じルールで試合。ただ、韓国の国内ルールでは日本語の言葉を全部韓国語にしていて、「残心」も「存心(ジョンシム)」に(中京大学の博士論文の要旨)
残心を存心にしているのは、ちょっとおもしろい。日本語を全部なくすって、かなり徹底していますよね。言葉は韓国語、ルールは剣道。
全日本剣道連盟の見解では、剣道は日本で生まれたもの
日本の武士の剣術から形になり、大正のはじめに「剣道」の呼び名に。ほかの土地で生まれたものではない、と書いている(全日本剣道連盟の見解)
韓国側の説明は、ルーツが新羅の「花郎道」
剣道のルーツを、日本は武士道、韓国は花郎道と説明。花郎(ファラン)は、昔の朝鮮半島の国・新羅にいた、若い男子のエリートの戦士たち。1910年ごろには「剣道」の言葉を使っていた、という韓国の主張には、根拠が示されていないとのこと(中京大学の博士論文の要旨・英語版ウィキペディア)
あれ、コムドじゃなくて花郎道なんだ。花郎道とコムドはちがうのかな?と思ったけど、花郎道は韓国側が挙げているルーツの話で、競技のコムドは、要するに剣道のこと。花郎道、初めて聞きました。韓国には韓国の言い分が、ちゃんとあるんですね。

ただ、1910年ごろの話には、根拠が示されていない。正当性という目で見ると、剣道は日本で生まれたもの、というのが今の見方みたいです。
あれから10年、今はどうなっている?
結局うやむやになって、何も変わっていないんじゃないか。調べる前は、そんなふうに思っていました。2026年の秋ごろの時点で、実際はどうなっているのか。
2018年、韓国の仁川で「世界剣道選手権大会」
国際剣道連盟の第17回の世界大会が、2018年9月に仁川で開かれ、主催は韓国の大韓剣道会(国際剣道連盟の発表)
韓国で世界大会をやっていたなんて、知りませんでした。大会の名前は、今も「剣道」のまま。結局、何も変わっていなかったんですね。
2026年、韓国のニュースサイトに、剣道は日本由来と書く記事
韓国の筆者がオーマイニュースに書いた記事。剣道は日本の武道教育の中で、学校や警察などを通じて広まった、という内容。大韓剣道会という名前のせいで、剣道を韓国だけの武芸と思う人もいるかもしれない、とも(2026年8月)
韓国の人が自分で、日本由来って書いているのは意外でした。名前のせいで勘違いする人もいるかも、というところは、嫌がらせじゃなく本気でそう信じている人もいる気がする、というわたしの感じ方とも重なります。

そういえば、韓国の起源説みたいな話は、ネタとしてたくさんあった気がするのに、最近はあまり聞かなくなりました。韓国の人が変わったのかどうかまでは、調べても分かりませんでした。
わたし自身、昔は韓国をライバルのように感じていたけど、今は韓国の人もK-POPも大好き。この10年くらいで、ゆっくり見方が変わった気がします。あれから10年くらい。世界大会は韓国で開かれても、「剣道」のままでした!
