自転車でオープンイヤー型イヤホンを使ってもいいのか。
結構気になっていて、実は微妙なラインの話でした。
片耳なら?骨伝導なら?という疑問は、わりと多くの自転車乗りが抱えているはずです。
ここ数年で警察庁の考え方も明確になってきて、ようやく答えが出た感があります。
それまでは地域によって判断が異なる状態が続いていたので、正直なところ判定が曖昧だったんです。
1. イヤホン使用が問題視される理由は?
自転車でイヤホンを使うことで重大な事故に発展するおそれがあるとされています。
周囲の音が聞こえなくなると、クルマや歩行者の接近に気づきにくくなるというわけです。
見通しの悪い路地や交差点での危険性が高まるのは当然のことですよね。
安全運転ができない状態を作るのが問題とされています。
2. 国の法律ではイヤホン使用をどう禁止している?
実は道路交通法では、イヤホンの使用を直接禁止する規定は存在しません。
その代わり、道路交通法第70条の「安全運転義務」という部分で、実質的に規制されています。
この安全運転義務に違反すれば、事故につながった場合に問われることになります。
ただし、都道府県ごとの条例や規則では、より詳しくルールが決められていました。
3. では、オープンイヤー型イヤホンはどうなのか?
ここが重要なポイントです。
警察庁が2025年9月に発表した「自転車ルールブック」に、明確な基準が示されました。
オープンイヤー型イヤホンで自転車に乗ること自体は、違反にはなりません。
ただし条件があります。
周囲の音が十分に聞こえる状態で使用する必要があるということです。
大音量で使っていて周囲の音が全く聞こえない場合は、オープンイヤー型でも違反になってしまいます。
この基準は片耳イヤホンや骨伝導型イヤホンでも同じです。
形状よりも、外部音が聞こえるかどうかという機能的な判定が重視される点が大切です。
4. 「周囲の音が聞こえる」の判定基準は?
警察庁は、警察官が声をかけたときに即座に反応できることを条件としています。
つまり、警察官の呼びかけが聞こえなければ違反対象になります。
この基準で考えると、結構シビアな感じがします。
違反となる場合と違反にならない場合をまとめると、
・違反となる場合として、両耳をふさぐカナル型で高音量の使用
・オープンイヤー型でも大音量で周囲音が聞こえない状態
・違反にならない場合として、片耳のみ装着した状態
・オープンイヤー型で周囲音が聞こえる状態
・骨伝導で周囲音が聞こえる状態
形状ではなく「実際に周囲の音が聞こえているか」で判定されるという点が、従来からの曖昧さを払拭した感じがします。
5. 2026年4月から何が変わるのか?
警察庁がルールブックを発表した背景に、自転車への交通反則通告制度(いわゆる青切符)の導入があります。
2026年4月から、自転車の違反に対して青切符が発行されるようになります。
その際の基準となるのが、今回発表されたルールブックです。
これまでは両耳をふさぐイヤホンでの運転が違反でも、赤切符による刑事罰が必要でした。
警察の手続きが大変だったから、実際の取り締まりは限定的だったんです。
青切符が導入されると、その場で反則金が徴収される流れになります。
手続きが簡潔になるから、取り締まりが強化される可能性は高いです。
6. 地域による違いは今後なくなるのか?
東京都や大阪府など、各都道府県ではそれぞれ条例でイヤホン使用を規制してきました。
この地域差があったから、どこまでなら大丈夫なのかが判然としなかったんです。
警察庁のルールブックが全国統一基準を示したことで、少なくとも国の方針は一本化されました。
ただし、地方自治体の条例がすぐに変わるかどうかはまた別の話です。
制度の運用面では警察庁の基準に従う傾向も考えられます。
7. まとめ
つまり、オープンイヤー型イヤホンは違反にはなりません。
ただし「周囲の音が聞こえること」という条件付きです。
警察官の声に応答できるレベルで音が聞こえていれば、形状がどのタイプでも大丈夫ということになりました。
実は、これはイヤホンの形状ではなく、安全性という本質的な部分を重視する判断だと思います。
高音量で周囲音が遮断される使い方ならば、どんなイヤホンでも違反対象になります。
一方で、低音量で周囲音が聞こえるなら、カナル型でも理論的には違反にならない可能性があります。
2026年4月からの青切符導入に向けて、この基準が徐々に周知されていくようです。