【関西の謎】マクドナルドを「マクド」と呼ぶのはなぜ?

関西でマクドナルドを「マクド」と呼ぶ人を見かけたことはありませんか?

東日本では「マック」が一般的なのに、なぜ関西だけ違う呼び方をするのでしょう。

実はこの現象には、関西特有のアクセント言語文化が深く関わっているんです!

調べてみると、単なる方言の違いを超えた面白い理由が分かりました!

マクドナルド公式では何と呼んでいるの?

意外なことに、マクドナルド公式は特定の略称を推奨していません。

同社のPR部によると「会社側で設定した呼称ではなく、『マクド』も『マック』もお客様が自然と使われるようになったようです」との回答が出ています。

つまり、どちらも正式な略称ではなく、お客さんが勝手に作り出した愛称なんですね。

2017年にマクドナルドが実施した『マックなのか?

マクドなのか?

おいしさ対決!』キャンペーンでは、全国の呼び方を調査しました。

その結果、「マクド」を使うのは全国で11府県でしか呼ばれていないことが判明しています。

読売新聞社の2000年代の調査では、関西6府県と四国の徳島県で「マクド」と呼んでいることが分かりました。

関西特有のアクセントが「マクド」を生んだ?

関西で「マクド」が定着した最大の理由は、京阪式アクセントにあると考えられています。

関西弁には「低高低」のアクセントパターンを好む特徴があり、これが「マクド」誕生の鍵となりました。

神戸女子大学の橋本礼子さんによると、「『マック』では京阪式アクセントの『低高低』を当てはめようとすると2拍目が『ッ』となってしまい聞こえない拍となるので、関西地方ではあまり好まれなかったのかもしれません」と説明しています。

年配の関西人は3文字の言葉を真ん中にアクセントを置いて発音する傾向があります。

・「テれビ」(テレビ)
・「ラじオ」(ラジオ)
・「マくド」(マクド)

このパターンに従うと、「まクド」より「マくド」の方が自然に聞こえるわけです。

「ミスド」が先輩だった説はホントなの?

実は「マクド」誕生には、先輩格の「ミスド」(ミスタードーナツ)の存在が影響していた可能性があります。

時系列を見てみると、とても面白い事実が浮かび上がってきます。

ミスタードーナツは1971年に大阪で第1号店を開店しました。

一方、マクドナルドは同年に東京でスタートしましたが、関西進出は翌1972年の京都が最初でした。

つまり、関西人にとって「ミスド」の方が1年早く馴染みのある存在だったんです。

店舗展開のスピードでも、ミスドが100店舗を達成したのは1974年、マクドナルドは1976年でした。

関西の人たちにとって「○○ド」という略し方は、すでに「ミスド」で慣れ親しんだパターンだったのかもしれません。

言語学者が解明した「マクド」の変遷は?

専修大学の社会言語学者・永瀬治郎さんが行った面白い調査があります。

1993年、1997年、2005年の3回にわたって全国の大学生約200人を対象に調査した結果、マクドナルドの略称の地域差がわずか20年ほどで生じたことが判明しました。

1993年の調査では「マクド」が広がっていたのは、関西の4府県と石川、鳥取、島根、四国3県でした。

しかし1997年の調査では関東地方でも「マクド」を使う学生が現れていました。

おそらく関西出身の学生が関西地方以外にも「マクド」を持ち込んだのだろうと考えられています。

90年代には「マック」を使っていた人にとって「マクド」という呼び方が珍しくインパクトがあったため、関西以外でも使う人が出てきました。

それが2000年代に入ると「マック」が一般的になり、「マクド」は関西と四国の徳島以外ではほとんど使われなくなったようです。

言葉は自然に生まれて育っていく

マクドナルドを「マクド」と呼ぶ理由を調べてみると、関西のアクセントの特徴や言語文化が大きく関わっていることが分かりました。

公式な名前ではないのに、これほど定着するなんて言葉の力ってホントにすごいですよね。

「ミスド」の先輩効果も含めて、関西らしい独特な言語感覚が生み出した愛称だと思うと、なんだか愛着が湧いてきます!