普段何気なく「縁起が良い」と感じている数字の8。
結婚式の日取りや車のナンバーでよく見かけますよね!
でも、なぜ8が特別なのか、その本当の由来を知っている人は意外と少ないかもしれません。
実は8の縁起の良さは、現代の「末広がり」という解釈だけでなく、古事記や日本書紀の時代から続く深い歴史があるんです。
今回は、この奥深い8の世界について調べてみました!
8の「末広がり」って本当はどんな意味?
現在私たちが使っている「末広がり」という言葉は、主に漢字の「八」の形から来ています。
上から下へと広がっていく形が、将来に向かって良いことが広がっていくイメージと重なるんですね。
この形には「物事がだんだんと良い方向に向かって広がっていく」という願いが込められているんです。
数字の8を横にすると「∞」の無限大マークになることからも、永遠や無限の意味を持つとされています。
でも実は、これは比較的新しい解釈なんです。
扇子も「末広がり」と呼ばれることがありますが、これも手元から先端に向かって広がる形からきています。
結婚式などのお祝い事で使われる祝儀扇も、この末広がりの縁起を担いでいるんですね。
古事記や日本書紀の時代から8は特別だった?
驚くことに、8という数字への特別な思いは、現代の末広がり解釈よりもずっと古くから存在していました。
古事記や日本書紀を読んでみると、「八」がものすごくたくさん使われているんです。
具体的には、こんな言葉が登場します。
・八百万神(やおよろずのかみ)
・八雲立つ(やくもたつ)
・大八州(おおやしま)
・八咫烏(やたがらす)
・八咫鏡(やたのかがみ)
古事記の上巻だけでも70ヶ所近く「八」が使われているそうです。
これは偶然ではなく、古代の日本人が「八(や)」という数に特別な意味を感じていた証拠なんです。
スサノオノミコトが詠んだとされる日本最初の和歌「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を」にも、八がたくさん使われています。
この時代から、8は神聖で特別な数字だったということがわかりますね。
漢字が伝わる前から8は神聖な数だった?
ここで気になるのは、漢字が日本に伝わったのは4〜5世紀頃とされているのに、それより前から「八(や)」という概念があったのかということです。
実は「八(や)」という音自体に、古代日本では特別な力があると考えられていました。
「弥栄(いやさか)」という言葉の「や」も、この「八」と関係していて、めでたい・大きい・永遠・無限・完全などの意味を持っていたんです。
日本語の数の数え方で「ひ、ふ、み、よ、いつ、む、なな、や」と言いますが、この中で「や」の音だけが最も大きく口を開く音なんです。
古代の人々は、この音に言霊の力を感じていたのかもしれませんね。
ただし、漢字伝来前の文字については確実な証拠が少ないため、音としての「や」がどれほど重要視されていたかは、はっきりとはわからない部分もあります。
中国から来た8の考え方と日本独自の発展
8に対する特別な思いは、中国からも影響を受けています。
中国では紀元前10世紀頃にまとめられた易経で、八卦という考え方が生まれました。
これは宇宙のすべてを陰と陽の組み合わせで表現する思想で、8つの基本的な形で世界を説明していたんです。
天武天皇の時代(7世紀後半)には、この中国の八卦の思想と日本の「八(や)」への信仰が融合して、より体系的な国家の思想として発展しました。
伊勢神宮の構造や大嘗祭の儀式にも、8という数字が深く関わっているそうです。
中国では現在でも「8」の発音が「發財(お金持ちになる)」と似ているため、縁起の良い数字とされています。
しかし日本の場合は、音の響きだけでなく、古代からの精神的な意味合いがより深く根付いているんですね。
現代に受け継がれる8への思い
こうして見ると、現代の「末広がり」という解釈は、古代から続く8への特別な思いが形を変えたものなんですね。
漢字の「八」の形から連想される末広がりのイメージと、古代からの「や」という音への信仰が組み合わさって、今の私たちの8への印象が作られているんです。
結婚式の日取りや車のナンバー、住所などで8が好まれるのも、この長い歴史の延長線上にあるんだなと思うと、なんだか感慨深いですね。
古代の日本人が感じていた「八」への特別な思いが、現代まで形を変えながら受け継がれているということなんです。
ただし、これらの解釈については学者によって見解が分かれる部分もあり、すべてが確実に証明されているわけではありません。
それでも、8という数字への日本人の愛着が、とても古い時代から続いていることは間違いないようです。
8の縁起は古代と現代をつなぐ不思議な数字
8という数字の縁起について調べてみて、想像以上に奥が深くて驚きました。
単純に「末広がりだから縁起が良い」と思っていたけれど、実際には古事記の時代から続く長い歴史があったんですね。
漢字の形から来る現代的な解釈と、古代の「や」という音への信仰が重なり合って、今の8への特別な思いが生まれているなんて、とても興味深いなと感じました。
きっとこれからも、8は私たち日本人にとって特別な数字であり続けるんでしょうね!