朝の通勤ラッシュの歩道で、後ろから自転車のベルを鳴らされた経験は誰にでもあるはず。
ただ、その「チリンチリン」という音が実は法律で禁止されている行為だとしたら?
自分も気付いていないかもしれません。
実は自転車のベルと歩行者の関係には、意外と厳しいルールが隠れているんです。
1. 自転車のベルはクラクション扱いなの?
自転車のベルは法律では「警音器」と呼ばれるものです。
これは自動車のクラクションと同じ扱いなんです。
だから同じルールが適用されます。
道路交通法では、自転車も「軽車両」という車両の一種に分類されているので、自動車と同じく道交法を守らなきゃいけません。
多くの都道府県の条例でも、自転車にベルの装着が義務づけられています。
ベルを装着すること自体は必須です。
その使い方については厳密に決められているんです。
2. ベルを鳴らしていい場面は限られているの?
実は、ベルをいつでも好きなときに鳴らしていいわけではありません。
決まった場面でしか鳴らしちゃいけないんです。
道路交通法で許可されているのは
・標識で「警音器を鳴らせ」と指示されている場所
・見通しが悪いカーブなどの場所
・自身と歩行者の危険を防止するためやむを得ない場合
つまり「危険を防止するためやむを得ないとき」という限定的な状況だけなのです。
言ってみれば、緊急時以外は鳴らしちゃダメってわけです。
3. 歩行者に「どいて」と鳴らすのはなぜダメなの?
多くの人がやってしまう、前方の歩行者にベルを鳴らして道をあけるよう促す行為。
これは違反です。
その理由は、横断歩道や歩道では「歩行者優先の原則」があるから。
そもそも歩行者が立っている場所では、自転車が歩行者をどかすべき立場にあります。
ベルを鳴らして歩行者を退かせるのではなく、自転車を引いて歩くか、徐行して進むのが正しい対応なのです。
この点を誤解している運転者は意外と多く見かけます。
4. 違反するとどうなってしまうのか?
歩行者に対してベルを鳴らす行為は、道路交通法第121条9号に該当する違反です。
理論上は2万円以下の罰金または科料が科される可能性があります。
この違反が適用される具体例としては
・進行方向の歩行者にベルを鳴らしてどかす
・背後の歩行者に接近を知らせるためにベルを鳴らす
・歩行者優先の場所での不適切なベル使用
ただし、これまで実際に罰金が科されるケースはほとんど見られていません。
もっとも、2026年4月からは自転車の交通反則通告制度が導入される予定になっており、今後は違反処理がより進みやすくなるとみられています。
まとめ
自転車のベルは装着が義務ですが、むやみに鳴らすと法律違反になる可能性があります。
特に歩行者に向けて鳴らすのは、歩行者優先の原則に反する行為です。
ベルを鳴らしていい場面は限定的で、基本的には危険防止のためやむを得ないときだけ。
歩行者と関わる場面では、ベルではなく自転車を引いて歩くのが正解です。
毎日の通勤や通学で、知らず知らずのうちに違反している可能性もあるので、改めて意識してみるといいかもしれません。